精神障害者のリカバリは、患者さんの個人的で主観的なプロセスであり、専門職の支援や人とのかかわりを通じて、患者自身が能力をいかして自己選択でき、これからの人生における新しい意味と目的を見出していくプロセスです。
このリカバリを促進するために、精神科の看護師は患者さんとのパートナーシップを形成する必要があります。ここでいうパートナーシップとして必要なのは、患者さんと対等の立場に立ち、患者さんがどんな気持ちなのか、困っていることや抱いている希望などについて傾聴することです。加えて、対象者に敬意を払い尊重すること、患者さんの能力を信頼し、内側から回復していく力がある存在として捉えなおすことが求められます。
さらに、患者さんのストレングスを見い出し、それを本人に伝えることも必要です。本来持っている力があるものの、精神科への入院や精神障害により、それを発揮できていない可能性があります。その力を発揮させるために必要となるのがストレングスです。
他の人から本人に直接伝えられることによって、自分自身の価値やこれからの可能性を信じることができ、さらに自分自身の希望や困りごとに立ち向かっていく意欲がわいてきます。患者さんがストレングスを見出すために看護師がやるべきことは、伝え続けることと、それを支持する形で関わっていくことです。
また、患者がこれからの人生設計をどのように考えているのかを話し合い、さらにそのための計画を一緒に考え、実施できる環境調整も行います。計画を実践している時は、看護師は見守る姿勢を取ることが必要です。たとえ失敗しても、計画を修正できるように関わることがリカバリ促進には大事なことです。